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長い通知、先にAIに読んでもらう ― “読む場所”がわかってから読む

回覧板に挟まって、30ページの通知が回ってくる。表紙には「重要」の判子。パラパラとめくって、2〜3ページ目あたりで目が滑りはじめて、とりあえず気になった行に付箋を貼って、次の人へ——。

身に覚えのある方、安心してください。あなただけではありません。役所や厚生労働省の通知は、「役所からの手紙」の回でお話ししたとおり、正確さを最優先に書かれた文章 です。しかも事業所に届くものは、1通で何十ページ。全部の事業の、全部の場合が書いてあるので、あなたに関係する部分は、実はほんの数ページ だったりします。

今日ご紹介するのは、その数ページを探す仕事を AIに先にやってもらう という使い方です。

🙂

報酬改定の通知が回ってきたんですが、30ページもあって……。大事なのは分かるので付箋だけ貼ったんですけど、正直、中身はまだ読めていません。

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その付箋、私に貼らせてください。ファイルごと渡して「まず3行で教えて」と聞くんです。全体像をつかんでから、「うちに関係する所は?」「期限は?」と会話で絞り込む。最初から読むより、ずっと早く“読むべき場所”にたどり着けます。

人形劇の舞台で、付箋だらけの分厚い通知の束を抱えたメガネの所長さん人形が「付箋を貼って、力尽きた…」と困り、蝶ネクタイのAIさんが「先に私が読みましょう」と答えている図
▲ 第五幕「長い通知」――分厚い束は、先にAIさんに渡してしまいましょう(イメージ図)

順番を、逆にする

私たちが学校で習った書類の読み方は、「読む → 理解する → 動く」の順番です。まじめな人ほど、1ページ目から読もうとします。そして3ページ目で力尽きます。

順番を逆にしましょう。「AIに要点を聞く → あたりをつける → 原文の該当ページだけ読む」 です。

たとえるなら、異動してきたばかりの職場で分厚い引き継ぎ資料を渡されたとき、まず前任者に 「要するに、どういう話ですか?」 と聞くのと同じです。「要するに加算の届出の話で、うちに関係するのは第3章だけ」と教えてもらえたら、第3章は自分の目でしっかり読みますよね。誰も「聞いたから読まなくていい」とは思いません。読む場所がわかってから読む——それだけの話です。

これまでとこれからの2段比較図。上段(これまで・グレー)は、30ページの通知が届く→最初から読む(3ページ目で力尽きる)→付箋だけ貼る(理解は後回し)。下段(これから・緑)は、AIに先に渡す(3行で教えて)→会話で深掘り(うちに関係ある所は?)→原文で確認(該当ページだけ・目立つ色で強調)。締めの一文は「読まなくていい、ではなく『読む場所がわかってから読む』」
▲ 順番をひとつ入れ替えるだけ。最後の「原文で確認」は、これからも人間の仕事です

ここでひとつ、うれしいお知らせを。役所や厚労省の通知は 誰でも読める公開文書 で、利用者さんの名前も職員の個人情報も載っていません。つまり個人情報の線引きを気にせず、丸ごとAIに渡せる、いちばん安全な練習台 なんです(※名簿や個人名入りの別紙が挟まっていたら、それだけ外してください)。

実演 ― 報酬改定(処遇改善加算)の通知の場合

題材は、事業所あてに届く定番の分厚い束——報酬改定にともなう処遇改善加算の見直しの通知(令和8年度)にしましょう。PDFがあればチャットにファイルごと添付、紙しかなければ役所からの手紙の回と同じく、スマホで撮って見せてもOKです。

まずは、この一言から。

魔法のひと言(1通目) この文書を、まず3行で教えてください。くわしい説明はまだいりません。

① 処遇改善加算のしくみが令和8年度から一部変わる、というお知らせです。 ② 加算を続けるには、事業所ごとに新しい様式で 体制の届出 が必要です。 ③ 提出期限と必要書類はサービスの種類ごとに違うので、該当する章の確認が必要です。

30ページが、3行になりました。「全体としてどういう話か」がつかめたら、ここからが本番。会話で、自分の事業所に引き寄せていきます。

深掘り(2通目) うちは、グループホーム(共同生活援助)と就労継続支援B型の事業所です。この2つに関係する部分だけ教えてください。

グループホームに関係するのは 第3章と別紙2、B型に関係するのは 第3章と別紙4 です。共通のポイントは、加算の区分の呼び方が変わることと、職場環境の要件の選び方が変わること。逆に、第4章(訪問系サービス)と第5章(児童系サービス)は、おたくの事業所には関係ありません。

「関係ありません」と言ってもらえるのが、実はいちばんありがたいところです。30ページのうち 読まなくていい20ページ が、この一往復で確定しました。さらに続けます。

深掘り(3通目) 体制の届出はいつまでですか? それは原文の何ページに書いてありますか?

加算を4月から算定する場合の提出期限は 4月15日 です。根拠は 18ページの「4 届出の期限」 に記載があります。経過措置の説明は19ページです。

ここまでの所要時間、およそ5分。付箋を貼って力尽きていた束が、「18ページと19ページを自分の目で読めばいい」という 具体的な宿題 に変わりました。

※上のAIの回答は、使い方をお見せするための です。実際の期限・要件・ページ番号は文書ごとに違いますから、必ずお手元の原文で確かめてください——というのが、まさに次の話です。

あんしん ― AIの要約は「案内係」です

ここで、鵜呑みにしないの回を思い出してください。AIは要約が得意な分、まちがいも堂々と要約に混ぜてきます。とくに期限・金額・様式番号のような「そこを外したら大ケガ」の数字ほど、注意が必要です。

だから、役割をこう考えてください。AIの要約は、答えではなく案内係。デパートの案内係に「おもちゃ売り場は5階です」と教わったら、実際に5階へ行って品物を自分の目で確かめますよね。それと同じで、最後は必ず、原文の該当ページを開く。図解のいちばん最後の箱が目立つ色になっているのは、そういう意味です。

そのために効くのが、さっきの実演でもこっそり使った、この頼み方です。

確認をラクにするコツ 答えるときは、その根拠が原文の何ページ(または何という見出し)にあるかを、必ず添えてください。

これを最初のひと言に足しておくと、AIの答えぜんぶに「出どころ」が付きます。あとから確かめるとき、30ページを探し直す必要がありません。もしAIが答えたページを開いて 書いていなかったら、その答えは疑ってかかる——確かめる手段まで込みで、案内係を使いこなしましょう。

Geminiでも ― ドライブにPDFがあるなら

職場の共有ドライブ(Googleドライブ)に通知のPDFが置いてある場合は、Geminiに読ませるのが早道です。やり方は一言で済みます——ドライブでそのPDFを開くと、画面の上のほうに「Geminiに聞く」ボタンが出るので、押して「まず3行で教えて」。あとは今日の実演とまったく同じ会話ができます。ファイルを添付し直す手間すらありません(Geminiと相性のいい場面については無料と有料の回もどうぞ)。

ひとこと: 「AIに読んでもらうなんて、手抜きでは」と感じた方へ。付箋だけ貼って理解を後回しにするのと、5分で要点をつかんで該当ページを自分の目で読むのと——どちらが、あの通知に真剣に向き合っていることになるでしょう。読まなくていい、ではありません。読む場所がわかってから、読む。 それは手抜きではなく、読み方の上達です。

あわせて読みたい:役所からの手紙、AIに読んでもらう ― むずかしい書類の“翻訳係”AIは、自信満々にまちがえる ― “鵜呑みにしない”ための3つの確かめ方

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