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道具は、頼み方で目を覚ます ― 同じ質問を、4つの条件でAIに聞いてみた

第1回では、Geminiの答えに赤ペンを入れました。よくできた答えの中に、一行、生活設計を狂わせかねない誤りがありました。

では、AIに道具を持たせたら、赤ペンは減るのでしょうか。インターネットを調べる道具、法律の条文を調べる道具、そして持ち主のことを覚えている「メモリ」。今回は、同じ質問を条件を変えて聞き比べ、赤ペンの数を数えてみました。

赤ペンの図。AIの答えが書かれた用紙の余白に、赤ペンで◎・△・✕・+の印が入っている。右下から大きな赤ペンが用紙に向かい、左ではAIさんのロボットが少し緊張した顔で用紙を見守っている
▲ AIの答えに、赤ペン。今回は、AIに道具を持たせたら赤ペンが減るのかを確かめます

聞き比べた4つの答え

質問は4つとも、第1回とまったく同じです。

🙂
わたし

親が亡くなったら、知的障害のある子の年金やお金はどうなりますか?

条件実際に動いた道具
GeminiGoogle Workspace の有料プラン(第1回の題材)不明
B:検索Claude のシークレットチャット(メモリなし)インターネット検索
C:ふだんClaude のふつうのチャット(メモリあり・道具はいつもどおり)インターネット検索(出典は民間のサイト3件)
D:一言C と同じ会話で、「根拠になる条文と、国の資料で確かめてから答え直してください」と一言法律の条文を調べる道具(e-Gov)と、国の資料
正直に書いておくこと

はじめは「道具を全部外したAI」とも比べるつもりでした。でも、ふだん使っているAIには道具がたくさんつながっていて、全部を外すのは現実的ではありません。そこで、道具を使える状態かどうかではなく、答えを出すときに実際に動いた道具を記録して比べました。答えは一回ずつしか聞いていません。同じ質問でも、聞くたびに答えは少し変わります。

答え合わせ表

答えを見てから基準を作ると、どうしても甘くなったり辛くなったりします。そこで、第1回で条文と国の資料に当たって確かめた事実から、答え合わせの12項目を先に決めておきました。

  • ◎正確に触れた
  • △触れたが、不正確・一面的
  • ✕誤り
  • ―触れていない
#答え合わせの項目GeminiB
検索
C
ふだん
D
一言
1障害年金は、親が亡くなっても止まらない
差し押さえ禁止・非課税まで
◎◎◎◎
2年金の受取口座は、もともと本人名義✕―△―
3現況届はほぼ不要。注意すべきは障害状態確認届✕―◎―
4遺族年金の「子」は、障害があっても20歳未満まで
死亡一時金・未支給年金の順位まで
✕◎◎◎
520歳前の障害には本人の所得制限。相続財産は所得ではない
基準額まで
―◎◎◎
6特別障害者手当は、親の死亡で受けられるようになることも△△――
7成年後見(遺言で避けられる/改正法は成立済み・施行前)
改正法には誰も触れず
△△△△
8生活保護(自宅は持ち続けられる余地/返還は死亡時から)
運用は正直に「未照合」
―△△△
9扶養共済(月2万円×2口/保護の収入に数えない)◎◎◎◎
10金額が正しい―◎◎◎
11お金以外(住まい・本人への伝え方・悲しみ)△△△△
12根拠を示し、分からないことを「分からない」と言う
公的資料・未照合の明示・自己訂正
―△△◎
✕(誤り)の数3000
◎(正確)の数3688

見えてきたこと、4つ

1. 検索できるだけで、誤りは消えた

Geminiの答えにあった3つの誤り(受取口座、現況届、遺族年金)は、検索できる B・C・D のどれにも出てきませんでした。とくに、いちばん危なかった遺族年金の「20歳未満まで」は、3つとも正しく書いています。

ただし、誤りが消えたのは、検索が「正解を書いてくれた」からだけではありません。B と D は、受取口座や現況届にそもそも触れていません。書かなければ、まちがえようもない。答え合わせ表の「―」も、読むときの大事な手がかりです。

2. 「知っていること」が効く

C の答えは、質問した人の名前への呼びかけで始まりました(この記事では名前を黒塗りにしています)。AIのメモリが、質問した人のことや、福祉と法律にくわしいことを覚えていたのです。

そのぶん、答えは深くなりました。兄弟が後見人になると、同じ相続人どうしで利益がぶつかること。親が受け取りそこねた年金(未支給年金)を、子が請求できること。扶養共済の年金は、生活保護の収入として数えないこと。最後には「家族向けの説明資料にする予定でしたら、1枚ものにしましょうか」という申し出までありました。

ただ、出典は民間の社会保険労務士のサイト3件でした。道具は持っていても、使われていなかったのです。

3. 一言で、道具が目を覚ます

C と D は、同じ会話です。違いは、たった一言だけ。

🙂
わたし

根拠になる条文と、国の資料で確かめてから答え直してください。

この一言で、AIは法律の条文を調べる道具を呼び出しました。答えは、こう変わりました。

  • 出典:民間のサイト3件 → 法律の条文(e-Gov)と、日本年金機構・厚生労働省・国税庁の資料
  • 新しく出てきたこと:年金は差し押さえが禁止されていること。親と暮らしていた子が受け取れる場合がある「死亡一時金」。20歳前の障害の所得制限の、具体的な金額
  • 分からないことを、分からないと言う:生活保護の運用や、グループホームの家賃補助の細かい要件は、「確かめていない」とはっきり書きました
  • 自分の誤りを、自分で直す:C で「住民税非課税などの所得要件」と書いたところを、「規則を確かめずに書いたものでした」と撤回しました

この回でいちばん大事な発見は、これかもしれません。道具を持ったAIが一番変わったのは、「知らないことを、知らないと言えるようになった」ことでした。赤ペンが減るのは、正しいことを言うからだけではありません。まちがったことを言わなくなるからです。

4. それでも、最後まで残った赤ペン

4つの答えすべてに、赤ペンが残りました。

+

成年後見の改正法。2026年6月に成立し、まだ施行されていない改正法に、どのAIも触れませんでした。条文を調べる道具は、「いま効力のある条文」を見に行きます。成立したばかりで、まだ効いていない法律は、道具の視野の外にあります(くわしくはトピック「成年後見制度はこう変わる」)。

+

生活保護の運用。住んでいる家は持ち続けられる余地があること。保護費の返還は、遺産分割が済む前でも亡くなった日から数えられること。こうしたことは、法律の条文ではなく、国の通知や問答集に書かれています。D は「確かめていない」と正直に書きましたが、中身までは届きませんでした。

+

お金の外側。住まいはどうなるのか。お母さんが亡くなったことを、本人に誰がどう伝えるのか。その悲しみを、誰が受け止めるのか。これは道具の問題ではありません。どんなに調べ物が上手になっても、ここは、暮らしを知っている人の仕事です。

ひとことで言うと

道具で、赤ペンは減る。頼み方で、もっと減る。それでも最後の赤ペンは、制度の「いま」と、暮らしを知っている人が持つ。

明日から使える、一言

特別な道具を入れていなくても、検索できるAIなら、次の一言を足してみる価値があります。

🙂
わたし

根拠になる法律や、国の資料で確かめてから答えてください。確かめられなかったところは、「確かめていない」と書いてください。

後半の一文が大事です。AIは、分からないところを埋めようとして、もっともらしく書いてしまうことがあります(→ AIは、自信満々にまちがえる)。「確かめていないと書いて」とお願いしておけば、どこに赤ペンを入れればいいかを、AIのほうから教えてくれます。

4つの答え(全文・原文のまま)

文章は原文のままです(見出しや太字などの書式だけ、読みやすく整えています)。Geminiの答えは、第1回に全文を載せています。

B:検索(Claude・シークレットチャット)

障害のあるお子さんの年金とお金について、今年度の金額を確認してからまとめます。結論から言うと、お子さん本人の障害年金は親が亡くなっても止まりません。 本当に問題になるのは「お金が入るかどうか」より、「誰がそのお金を管理するか」と「親の財産をどう渡すか」です。

1. 本人の年金・手当はそのまま続く

障害基礎年金はお子さん本人の権利なので、親の死亡とは無関係に支給が続きます。今年度(令和8年4月時点)の金額は月額で1級が88,260円、2級が70,608円です。重度の方は特別障害者手当(月30,450円)も在宅であれば年金と一緒に受け取れ、ただし所得制限があります。

注意点として、知的障害の多くは「20歳前に初診日がある」扱いになり、この場合は本人の所得制限がかかります。親の財産を相続しても「所得」ではないので通常は影響しませんが、相続した財産から家賃収入や配当が出る場合は確認が必要です。

2. 親の死亡で「増える」可能性があるもの

  • 遺族年金:お子さんが20歳未満で障害等級1・2級なら遺族年金の「子」に当たります。20歳以上になっていると原則対象外です。対象になっても障害年金とは基本的にどちらか一方を選ぶ形になります。
  • 心身障害者扶養共済(しょうがい者扶養共済):親が生前に加入していれば、親の死亡後、お子さんに1口あたり月2万円が終身で支給されます。これは親亡き後対策として最も確実な仕組みの一つです。

3. 相続でつまずきやすい点

お子さんは法定相続人です。ただ、遺産分割協議には判断能力が必要なため、知的障害の程度によっては成年後見人を立てないと手続きが止まります。後見人は原則として一生続き、専門職が就けば報酬もかかります。これを避けるには、親が遺言書(できれば公正証書)を残しておくのが最も効果的です。

その他: - 相続税には「障害者控除」があり、85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円)が差し引かれます。 - お子さんが生活保護を受けている場合は、相続した財産で保護が止まり、使い切るまで自費になります。

4. 誰がお金を管理するか

判断能力に応じて選択肢があります。

仕組み 向いている場面
日常生活自立支援事業(社協) 軽度で、日々の金銭管理の手伝いがあれば暮らせる
成年後見制度 契約・財産管理を全面的に任せる必要がある
特定贈与信託 まとまったお金を信託銀行が管理し定期的に渡す(特別障害者6,000万円・その他3,000万円まで贈与税非課税)
家族信託 信頼できる兄弟・親族がいて、柔軟に管理したい

親が元気なうちにやっておくこと

  1. 障害基礎年金の受給を確実にしておく(未申請なら20歳到達時に)
  2. 遺言書の作成
  3. 扶養共済への加入検討(加入年齢制限あり)
  4. お金の管理を誰に託すか決め、必要なら信託・任意後見を準備
  5. 相談支援専門員や後見支援センターとつながっておく

制度の細部(遺族年金の要件や所得制限額など)は個別の状況で変わるため、具体的な判断は年金事務所・市区町村の障害福祉課、相続は司法書士や税理士に確認してください。私は法律・税務の専門家ではない点もご了承ください。

特定のご家庭のケースで「このパターンだとどうなるか」を整理したい場合は、状況を教えていただければ一緒に考えます。

C:ふだん(Claude・ふつうのチャット)

■■さん、ポイントは「本人の障害年金は親の死亡後も変わらず続くが、親の遺族年金は原則として子には出ない。そのうえで、入ってくるお金を誰が管理するかが最大の問題になる」という点です。

1. 本人の障害基礎年金は続く

障害基礎年金は本人の受給権なので、親が亡くなっても金額も支給も変わりません。参考までに、令和8年度は1級が年額1,059,125円(月額88,260円)、2級が年額847,300円(月額70,608円)です。年金生活者支援給付金は1級で月額7,025円、2級で月額5,620円が上乗せされます(所得制限があり、別途申請が必要)。

注意点は2つです。

  • 20歳前傷病による障害基礎年金には本人所得による支給制限がある。相続した預貯金そのものは所得ではありません。ただし、相続したアパートの家賃収入などが生じると影響する可能性があります。
  • 受取口座が親名義になっていないか。本人名義の口座であれば親の死亡で凍結されません。親の口座で一緒に管理していた場合は、相続財産との区別が問題になります。

2. 親の遺族年金は、成人した子にはほぼ出ない

遺族基礎年金・遺族厚生年金の「子」は、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子に限られます。成人した知的障害のある子は、障害が重くても遺族年金の対象外です。「親の年金を引き継げる」と誤解している家族は多いので、ここは早めに伝えるべき点です。

ただし、親が亡くなった月までの年金で未受給の分(未支給年金)は、生計を同じくしていた子が請求できます。

3. 親の死亡で入ってくる可能性があるお金

  • 心身障害者扶養共済:親が加入していれば、子に終身で1口月2万円(2口まで)が支給されます。非課税で、生活保護でも収入として扱われません。親の死亡後の定期収入としては最も確実な制度です。
  • 相続財産:子は法定相続人です。相続税には障害者控除があり、(85歳−相続時の年齢)×10万円、特別障害者なら20万円が差し引かれます。
  • 生命保険金:受取人が子に指定されていれば、遺産分割を経ずに受け取れます。

4. 実務上の最大の問題は「管理する人がいない」こと

  • 遺産分割協議:本人に判断能力がなければ協議ができず、成年後見人の選任が必要になります。後見人が兄弟など同じ相続人の場合は利益相反になるため、特別代理人や後見監督人が関わる必要があります。遺言で分け方を指定しておけば、協議そのものを避けられます。
  • 年金や財産の日常的な管理:親が事実上担っていた役割に、法的な裏付けのある後任がいない状態になります。障害状態確認届(更新)の提出や、共済・未支給年金の請求手続きも同じです。
  • 生活保護を受けている場合:相続で資産が入ると、保護の停止や廃止につながり得ます。一方、グループホームの家賃補助(特定障害者特別給付費)などは、住民税非課税などの所得要件で判断されます。資産の増加が各給付にどう影響するかは、個別に確認が必要です。

5. 生前にできる手当て

遺言(できれば公正証書で)、扶養共済への加入、特定贈与信託(特別障害者は6,000万円、それ以外は3,000万円まで贈与税が非課税)、家族信託、受取人指定型の生命保険、後見人の候補者の確保、年金の口座を本人名義に整理しておくこと、などが典型です。お金の手当てだけ済ませても、管理する人を決めておかないと機能しない、というのが実務上の実感だと思います。

家族向けの説明資料にする予定でしたら、「遺族年金は出ない」「扶養共済は出る」「管理する人が要る」の3点に絞った1枚ものにすると伝わりやすいです。必要でしたら作ります。

Sources: - 令和8年度 障害年金額の改定について(つくる年金) - 令和8年度障害年金額(千葉県 障害年金申請) - 2026年度に障害年金でもらえる金額はいくら?(大阪障害年金サポートセンター)

D:一言(C の続き。「根拠になる条文と、国の資料で確かめてから答え直してください」)

根拠条文をe-Govで、金額と運用を厚労省・日本年金機構の資料で確認してから答え直します。■■さん、条文はe-Gov法令APIで2026-09-23時点の現行版を取得し、金額と運用は厚労省・日本年金機構・国税庁の資料で確かめました。前回の回答は大筋は合っていましたが、抜けが1点、直すべき点が3点ありました。

前回からの訂正

  • 抜け:死亡一時金。 成人した子でも、親と生計を同じくしていれば受け取れる場合があります(下の2)。
  • 未支給年金の順位。 配偶者が生きていれば配偶者が先で、子は2番目です。
  • 20歳前傷病の所得制限の基準額。 前回は数字を示していませんでした。令和8年4月施行の政令改正後の額を下に入れました。
  • 特定贈与信託の3,000万円枠。 「特別障害者以外なら誰でも」ではなく、精神の障害として政令で定める人に限られます。知的障害と判定された人はここに入ります。

1. 本人の障害基礎年金は、親が亡くなっても続く

  • 支給の根拠: 初診日が20歳前の障害には、国民年金法30条の4で本人に支給されます。親の死亡で権利がなくなる規定はありません。
  • 金額: 2級は780,900円×改定率、1級はその125%です(国年法33条)。令和8年4月分から、昭和31年4月2日以後生まれの人は1級が1,059,125円、2級が847,300円です(日本年金機構)。ネット上には1級を「1,059,120円」とする誤りがあります。
  • 年金生活者支援給付金(支援給付金法15条):1級は月額7,025円、2級は月額5,620円です。前年所得が4,794,000円(扶養親族1人につき38万円を加算)以下であることが条件です。
  • 20歳前傷病の所得制限(国年法36条の3、同施行令5条の4):前年所得が3,761,000円を超えると半額、4,794,000円を超えると全額が止まります。扶養親族がいれば基準額が上がり、停止期間は10月から翌年9月までです。
  • 判定に使う所得は住民税の総所得金額等です(施行令6条・6条の2)。相続で取得した財産は所得税の非課税所得です(所得税法9条1項17号)。
  • つまり、相続した預金そのものでは停止されません。問題になるのは、相続したアパートの家賃のように財産から生じる所得です。住民税側の条文(地方税法)は【未照合】です。
  • 受給権の保護: 譲渡・担保・差押えは禁止されており(国年法24条)、税金などの公課もかかりません(25条)。

2. 親の死亡で子が受け取れるもの・受け取れないもの

給付 成人した知的障害の子 根拠
遺族基礎年金 ✕(子は「18歳年度末まで」か「20歳未満で障害等級に該当」に限る) 国年法37条の2第1項2号
遺族厚生年金 ✕(20歳未満で1・2級に限る) 厚年法59条1項2号
未支給年金 ○ 生計を同じくしていれば(順位は配偶者→子) 国年法19条1項、施行令4条の3の2
死亡一時金 △ 生計を同じくしていれば(条件は下記) 国年法52条の2、52条の3

死亡一時金の条件は次のとおりです。

  • 親が国民年金の第1号被保険者として保険料を36月以上納め、老齢基礎年金も障害基礎年金も受けないまま亡くなったこと。
  • 遺族基礎年金を受けられる人がいないこと。
  • 受け取る順位は配偶者、子の順です。金額は12万〜32万円、時効は2年です(日本年金機構)。

親が年金を受け始めてから亡くなる典型的なケースでは出ないので、該当する場面は限られます。

3. 障害者扶養共済(しょうがい共済)

  • 支給額: 保護者が死亡するか重度障害になると、1口月2万円(2口で4万円)が生涯支給されます(厚労省「案内の手引き」令和6年10月版)。
  • 実施主体: 都道府県と指定都市です。北九州市は指定都市なので、北九州市の制度です。
  • 税金: 所得税はかかりません(所得税法9条1項3号ハ)。受給権は相続税の課税価格にも入りません(相続税法12条1項5号)。
  • 生活保護: 収入として認定されません(手引き)。
  • 年金管理者: あらかじめ指定できます。5の「お金を管理する人がいない」問題に対して、制度の中で打てる手です。

4. 相続と税

  • 障害者控除(相続税法19条の4):障害者である法定相続人の相続税から、85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)を差し引きます。1年未満の端数は1年に切り上げます。
  • 本人の税額から引き切れない分は、扶養義務者の相続税から差し引けます(同条3項で19条の3を準用、国税庁タックスアンサーNo.4167)。
  • 知的障害者と判定された人は障害者に当たり(相続税法施行令4条の4、所得税法施行令10条1項1号)、重度なら特別障害者です(所得税法施行令10条2項)。
  • 生命保険金の非課税枠(相続税法12条1項6号):500万円×法定相続人の数です。
  • 特定贈与信託(相続税法21条の4):親が生前に信託銀行などと契約して財産を託す場合の贈与税の非課税です。非課税枠は特別障害者が6,000万円、それ以外の特定障害者が3,000万円です。知的障害と判定された人は3,000万円枠の対象に入ります(相続税法施行令4条の8、所得税法施行令10条1項1号)。受託者との契約が要件なので、親が亡くなってから使う制度ではありません。

5. お金を管理する人の問題

  • 遺言: 遺言で遺産の分け方を指定しておけます(民法908条1項)。そうすれば、判断能力のない本人を交えた遺産分割協議を避けられます。
  • 利益相反: 後見人と本人の利益がぶつかる場合、たとえば兄弟が後見人で、自分も相続人として遺産分割に加わる場合は、826条が準用され、特別代理人の選任が必要です(民法860条)。後見監督人がいれば特別代理人は要らず、監督人が本人を代表します(851条4号)。
  • 生活保護: 保護は、使える資産を生活のために活用することが要件です(生活保護法4条1項)。お金があるのに保護を受けた場合は、その分を返す義務があります(63条)。
  • 相続で資産が入ったときに保護が停止・廃止されるのか、63条の返還をいつから数えるのかといった運用は、保護の実施要領を確認していないので【未照合】です。
  • グループホームの家賃補助(特定障害者特別給付費、障害者総合支援法34条):法律上の対象は「所得の状況その他の事情をしん酌して主務省令で定めるもの」です。前回「住民税非課税などの所得要件」と書いたのは、省令を確かめずに書いたものでした。省令の具体的な要件は【未照合】です。

照合した条文は、e-Gov法令API v2で2026-09-23に原文を取得したものです。主な版は、国民年金法 334AC0000000141_20260525_506AC0000000052、国民年金法施行令 334CO0000000184_20260401_508CO0000000075、相続税法 325AC0000000073_20260401_506AC0000000008 です。

【未照合】の2点(生活保護の実施要領、総合支援法の施行規則)も確かめますか。

Sources: - 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構) - 20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等(日本年金機構) - 障害年金生活者支援給付金の概要(日本年金機構) - 令和8年4月分からの年金額等について(日本年金機構) - 死亡一時金(日本年金機構) - 令和8年度の年金額改定についてお知らせします(厚生労働省、令和8年1月23日) - 障害者扶養共済制度 案内の手引き 令和6年10月(厚生労働省) - No.4167 障害者の税額控除(国税庁) - e-Gov法令検索(国民年金法、同施行令、厚生年金保険法、相続税法、同施行令、所得税法、同施行令、民法、生活保護法、障害者総合支援法、年金生活者支援給付金の支給に関する法律)

[skill-fire: legal-research]

この回の記録

質問した日:2026年9月23日 使ったAI:Gemini(Google Workspace の有料プラン)、Claude(Opus 5.5)
答え合わせの基準:第1回で照合した条文と国の資料(2026年9月23日)。C・D に新しく出てきた数字と条文(障害基礎年金の所得制限の基準額、扶養共済の受給権の相続税非課税、死亡一時金の遺族の範囲、年金生活者支援給付金の月額)も、e-Gov と日本年金機構で照合しました。
次の再挑戦:2027年3月ごろ、同じ質問と同じ条件でもう一度。

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「この質問、AIに聞いたらどうなる?」というギモンがあれば、お問い合わせフォームから教えてください。次の赤ペンの題材にするかもしれません。

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