突然ですが、こんなSMS(ショートメッセージ)が届いたら、どうしますか。
「お客様のお荷物を保管しております。本日中にご確認ください → http://〇〇〇…」
ひと昔前の詐欺メールは、日本語がどこか変で、「ああ、これはニセモノだな」と分かりました。ところが最近は違います。文章は自然で、ロゴも本物そっくり。皮肉なことに、AIの登場で、詐欺の文章は格段に上手になりました。「変な日本語かどうか」で見分ける時代は、もう終わったんです。
でも、ここからが今日の本題です。詐欺の文章を上手にしたのがAIなら、それを見破る力もAIにあります。あやしいメールやSMSが来たら、削除する前に、AIさんに見せてみてください。AIは、あなたの「盾」になれます。
まさに先週、宅配便の不在通知みたいなSMSが来たんです。荷物を頼んだ覚えはないんだけど、家族が何か注文したのかもしれないし……。リンクを押すべきか、30分くらい悩みました。
その30分の迷い、今日でなくしましょう。合言葉はこうです——「押す前に、貼る」。リンクを押す前に、その文面をコピーして私に貼ってください。あやしいポイントがあれば、ぜんぶ挙げてみせます。
使い方は、コピーして「これは詐欺?」と聞くだけ
やり方は驚くほど簡単です。届いたメールやSMSの 文章の部分 を長押しでコピーして、AIのチャットに貼りつけ、こう聞きます。
(ここに、届いた文面を貼りつける)
文字のコピーがむずかしければ、画面のスクリーンショット(写真)を撮って、画像ごとAIに見せる のでもかまいません。いまのAIは画像も読めます。
すると、AIはたとえばこんな指摘を返してきます。「実在の宅配業者はSMSで再配達リンクを送りません」「『本日中』と急がせるのは典型的な手口です」「このリンクの綴りは公式と微妙に違います」——。ひとりで30分悩んでいたことが、30秒で言葉になります。
AIが見ている「詐欺の3つの筋」
AIに何度か判定を頼むと、気づくことがあります。AIは文章の上手下手ではなく、話の「筋」 を見ているんです。詐欺の筋は、だいたいこの3つに集約されます。
- 急がせる … 「本日中」「24時間以内」「アカウント停止」。考える時間を奪うのは、詐欺の第一の道具です。本物の会社や役所は、そこまで急かしません。
- お金や個人情報を求める … 未納料金、還付金、当選金。「お金がもらえる」も「お金を払え」も、両方が釣り針です。
- リンクを押させようとする … 話の着地点が「とにかくこのリンクへ」なら、まず疑ってください。本物の用件なら、リンクを踏まなくても公式の窓口から確認できるはずです。
この3つを覚えておくと、AIに聞く前の「自分の勘」も鍛えられます。そしてAIに聞けば、その勘の答え合わせができる、という二段構えです。
大事な鉄則 ― AIに聞く前も、聞いたあとも
さて、この連載の読者のみなさんなら、もうお気づきかもしれません。前回の記事で書いた通り、AIの答えも、鵜呑みにはできない のでした。詐欺判定でも同じです。そこで、AIの判定と組み合わせて使う鉄則を3つだけ。
- リンクは、押さない。 AIが「詐欺の可能性が高い」と言っても、「たぶん大丈夫」と言っても、届いたメッセージの中のリンクは押さない。これだけは無条件です。
- 確かめるなら、公式から。 荷物が気になるなら宅配業者の公式アプリや公式サイトを自分で開く。料金が気になるならカードやスマホの公式アプリを開く。「向こうから来た入り口」ではなく「自分で開いた入り口」から入る。本物の用件なら、必ず公式側にも同じ情報があります。
- 迷ったら、ひとりで決めない。 家族や職場の人に見せる。消費者ホットライン「188(いやや)」に電話する。お金が絡む話を、その場でひとりで決めない——これは詐欺対策のいちばん外側の守りです。
もうひとつ、細かいけれど大事な注意を。文面をAIに貼るとき、自分や家族の名前・電話番号・口座番号などが文中に入っていたら、そこは消してから貼って ください。判定に必要なのは話の筋であって、個人情報ではありません(この「入れない線引き」は、個人情報の線引きの記事でくわしく扱っています)。
「守る側」の道具に変えていく
AIを「なんだか怖いもの」と感じている方にこそ、この使い方を知ってほしいと思っています。詐欺師がAIで攻めてくる時代に、こちらだけ素手でいる必要はありません。あやしい話が来たら、AIに相談する——この習慣がひとつあるだけで、日々の安心はずいぶん変わります。
ご家族に、あやしいメールの判断に不安がある方はいませんか。「変なメールが来たら、押す前にAIに貼って聞く」または「押す前に家族に見せる」。この約束をひとつ共有しておくのも、立派な備えです。
ひとこと: 詐欺への備えは「見分ける知識」より「押す前に、ひと呼吸おく習慣」です。その“ひと呼吸”の相手として、夜中でも嫌な顔ひとつせず付き合ってくれるAIさんは、なかなか頼れる相棒ですよ。
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「こんなこと、パソコンやAIでできる?」というギモンがあれば、お問い合わせフォームからぜひ教えてください。次の「教えてAIさん」で取り上げるかもしれません。