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利用者向けの手順を、紙芝居に ― 「一枚に一つのことだけ」と「めくれる形(HTML)で」

新しい手順を知らせるとき、私たちはつい文章を書きます。「送迎バスが新しくなります。玄関でお名前を言って、青い帽子の職員について……」。貼り紙としては正しい。でも、一度に全部を読むのが難しい人には届きません。この記事は、その手順を、一枚に一つずつめくる紙芝居にしてもらった実例です。

🗣 特集・こんな風にお願いするといいよ

うまくいった頼み方を、そのときの文面と、返ってきたものごと一つずつ並べる特集です。これがその3

  1. その1 答えは、動く図でください ― 「図(HTMLが良い)」の一言
  2. その2 研修資料を、押すと答えが出るクイズに
  3. その3 利用者向けの手順を、紙芝居に
  4. その4 お知らせを、A4一枚の掲示物に ― 一回目ははみ出した
  5. その5 nest-newsのトピックコーナーの成年後見制度改正の解説ができるまで ― お願いの合わせ技
🙂

来月からバスの乗り方が変わるんです。貼り紙はしたんですけど、字がたくさんあると、見ない人がいて。一人ずつ口で説明するのも、毎朝は……。

🤖

貼り紙は、全部を一度に見せます。それがつらい人がいるなら、一枚に一つだけ見せる形にしましょう。手順を順番に書いて渡してください。紙芝居にします。

お願いした文面(そのまま)

実際に送った依頼文(原文のまま) 知的障害のある方に「新しい送迎バスの乗り方」を説明するための紙芝居を作ってください。一枚に一つのことだけ、短い文と大きな絵文字で、「つぎへ」ボタンで一枚ずつめくれる形(HTML)でお願いします。特に、順番が分かるように、視覚的に見やすくしてください。
手順:①玄関で名前を言う ②青い帽子の人についていく ③シートベルトをする ④着いたら「ついた」と言う

返ってきたもの

返事の一行目は、こうでした。

知的障害のある方向けに、一枚一つ・大きな絵文字・ひらがな分かち書きで作りました。上部の「①②③④」で今どこにいるかが一目で分かり、終わった段階には✔がつきます。

表紙(🚌「あたらしい バスの のりかた」「ボタンを おしてね」)→ 4枚 → 「🎉 おしまい! じょうずに のれたね」の6枚。上に丸が四つ並び、いま何番目かがオレンジ、終わった番号は緑の✔に変わります。「つぎへ」は大きな緑、「もどる」は小さな灰色。

AIが作った紙芝居の実画面。上に①が緑の✔、②がオレンジ、③④が灰色の丸。白いカードに「2ばんめ」、青い帽子と歩く人の絵文字、「あおい ぼうしの ひとに ついていく」「いっしょに あるく」。下に小さな灰色の「もどる」と大きな緑の「つぎへ」
▲ 2枚目。上の①に✔、②がオレンジ(AI が出したページの実画面)

頼んでいないのに入っていたもの:ひらがなの分かち書き、表紙と「おしまい」、キーボードの矢印でもめくれる仕掛け、そして「もどる」を目立たない色にした理由。返事の補足に、こうありました。

「もどる」ボタンは小さく目立たない色にしてあり、迷ったときに支援者が戻せる程度にしています。

「一枚に一つ」の意図を汲んで、戻る操作まで控えめにしています。

さわって気づいたこと

実際に画面で通してみて、一つ気づきました。画面の幅が狭いと、表紙の「のりかた」が「のりか」と「た」に折れて表示されました。中身の4枚は大丈夫でしたが、文字の折れ方は端末で変わります。本番で使うタブレットで、一度は通してください。気になれば「表紙の題名が途中で折れないようにして」と一言足せば直ります。

どこが効いたのか ― 依頼文の解剖

① 相手を言う 「知的障害のある方に」

これで、文の長さ、字の大きさ、ひらがな、絵文字の量が決まりました。相手を言わなければ、職員向けの手順書が返ってきます。

② 何の手順か 「『新しい送迎バスの乗り方』を説明するための紙芝居」

「紙芝居」という言葉が、形を決めています。一枚ずつ、大きく、順番に。

③ 一枚の中身を制限する 「一枚に一つのことだけ、短い文と大きな絵文字で、」

今回の主役の一つ目です。これがないと、一枚に手順を全部書いた「きれいな貼り紙」が返ってきます。「一つのことだけ」 と言ったことで、AI は情報を削るほうに動きました。

④ めくれる形を、括弧で 「『つぎへ』ボタンで一枚ずつめくれる形(HTML)で」

主役の二つ目。ボタンの名前まで言っています。「HTML」の一言で、めくる・戻る・✔が付く、が動くものになりました。

⑤ 「特に」で、順番 「特に、順番が分かるように、視覚的に見やすくしてください。」

上の①②③④の丸と、終わった番号の✔は、この一言から出ています。「いま何番目か」が分かるのは、手順を覚えるうえで大事なところです。

⑥ 手順そのもの 「手順:①玄関で名前を言う ②青い帽子の人についていく ③シートベルトをする ④着いたら「ついた」と言う」

中身は、こちらが渡しています。AI が考えたのは見せ方で、手順は現場のものです。ここを AI に考えさせないのが、安心して使えるコツです。

向く手順、向かない手順

  • 向く — 順番が決まっていて、毎回同じ流れのもの。手洗い、出勤したらやること、休憩室の使い方、新しい機械のボタン。写真を足したければ、「絵文字のところに、あとで写真を入れられるようにして」と一言足せば、そうなります。
  • 向かない — その場の判断が要るもの(「困ったら」の場面)。緊急時の手順(画面を開く時間があるなら、紙のほうが早い)。

出てきた HTML の、開き方

その1のとおりです。タブレットに入れて、玄関で本人と一緒にめくるのが、いちばん使いやすい形です。ホーム画面に置く方法は「うちだけのアプリ」の記事に書きました。

注意

  • 本人と一緒に見て、直す。 分かるかどうかは、本人にしか分かりません。絵文字が違うものに見える、言葉が違う、順番が違う。気づいたことを一言ずつ AI に戻せば、直ります。
  • 名前は、自分で書き換える。 表紙の次の「〇〇 です」は、AI も「実際のお名前に書き換えて」と補足していました。利用者の名前を AI に渡さず、出てきたファイルの中で自分で書き換えてください。書き換える場所は返事の補足に書いてあります。
  • 絵文字の見え方は端末で違う。 パソコンで作って、タブレットで一度通す。

こんな風に応用できます

型はこうです。相手 → 何の手順 → 一枚に一つのことだけ → めくれる形(HTML) → 特に、順番 → 手順そのもの。

例1:手洗い 知的障害のある方に「昼食前の手洗い」を説明するための紙芝居を作ってください。一枚に一つのことだけ、短い文と大きな絵文字で、「つぎへ」ボタンで一枚ずつめくれる形(HTML)でお願いします。特に、順番が分かるように、視覚的に見やすくしてください。手順:①そでをまくる ②水でぬらす ③せっけんをつける ④手のひら・手のこう・指のあいだをあらう ⑤水でながす ⑥タオルでふく
例2:出勤したらやること 知的障害のある方に「作業所に着いたらやること」を説明するための紙芝居を作ってください。一枚に一つのことだけ、短い文と大きな絵文字で、「つぎへ」ボタンで一枚ずつめくれる形(HTML)でお願いします。特に、順番が分かるように、視覚的に見やすくしてください。手順:①カードをピッとする ②かばんをロッカーに入れる ③体温をはかって紙に書く ④自分の席にすわる
例3:写真を入れられる版 (上の依頼文に一言足す)絵文字のところに、あとで実際の写真を入れられるようにしてください。

貼り紙で届かなかった人に、一枚ずつ届ける。頼み方は「一枚に一つ」と「めくれる形」の二言です。

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